跳ねるLIVE③

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跳ねるLIVE③

和真と美由紀と比嘉は、『Sea.dog』の時からの馴染みの魚料理の上手い居酒屋に来ていた。 「やっぱりさ、俺としてはカズの声なら大瀧詠一を入れたかった訳よ。同じCITY POPならさ。『君は天然色』とか歌わせたらよかったぜ。」 比嘉が珍しく今日は雄弁だ。 「私はちょっと違う見方だなぁ。CITY POPもいいんだけど、ロックとかもいいかなぁとか思っちゃった。」 カクテルを半分ほど飲んだ美由紀は既に顔がアルコールで真っ赤になっている。 「あ、俺も思ってた。最近、QUEENとかいいなぁって思うんだけど。」 「そそ、私もQUEENのイメージ。後、少し、色が違うけど、セックス・ピストルズとか。」 「あーーー。美由紀はそっちいっちゃう?俺なら先ずはエアサプライかな?もう1人、強力なボーカルが必要だけど。エアサプライをコード変えて一人でってのも有り得なくはない。声が綺麗だからね。ビブラートかけないであれだけ、声が伸びるボーカリストなかなか、いねぇよ。」 「なるほどねぇ・・・だってよ。天才くん。比嘉があんまり、喋るのって聞かないじゃん。すご〜く良いんだよ。」 「自分では歌声を意識したことがないからね。声なんて生まれつきのもんだし。自分の声と曲がマッチするなら、俺は歌うよ。その方がカッコイイじゃん。」 「そう、言えるやつが余っ程、すげーんだよ。何だか勘違いしてる奴もいるじゃん。CITY POP系の歌声なのに、ロックンロールとかヘビメタとか。」 「あーーー。居たねぇ。結夏に腰ばっかり振ってたやつ。」 「そうね。3ヶ月前に結夏に捨てられたのも、飽きられたんでしょ?」 「声が?身体が?どっちが、呆れられたの?」 「両方じゃねぇか?よく分からんけど。所でさ、麻里子に聴いたんだけど、アイツ、ベースでうちのバンドに復帰してもいいって、昨日、聴いたんだ。どう?」 「比嘉っち!マジで!麻里子、フュージョン系のバンドでベースやってなかったけ?」 「へーーっ!麻里子さんって、スゲーんだ。会ったことないから分かんねぇや。」 「アイツの音、女の弾くベース音じゃねぇ。スゲーパワフル。ピックは使わねぇし。」 「比嘉っち、今日はとってもお喋りね。」 「いや、ボーカルが変わるだけでこんなに楽曲の幅が広がるんだと正直、驚いている。嬉しい悲鳴だ。ギターをやるモチベーションになる。久々にスゲーボーカリストだぜ。カズは。」 「へーーっ!カズ君、比嘉っちが、スゲーって。」 「まぁ、俺はよく分からんよ。悪いけど、そこの醤油取ってよ。イカにかけるから。」 「カズ君、今の凄く、かっこつけていい所!」 3人の夜はふけていった。
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