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Okinawa in may
「くそ、つまんねぇなーー。俺から柔道、取り上げられたら、ただのヤンキーじゃねぇか❣️」
プールの上にある柔道場の入口で和真はガムをクチャクチャ噛みながら嘯いていた。太陽はカンカン照りで彼の体を焦がしている。
「あーーーっ!つまんねぇなぁ。。。柔道してーーーなーーー。」
「あーーーーっ!足の怪我してる間に一曲、歌ってくんねーーかなーーーーーっ」
「って!おい!美由紀!お前、どこから出てきたんだ!」
「え?一万時間前から隣にいたじゃない?」
「とぼけてんじゃねぇよ。俺が黄昏てからまた、10分経ってねぇぞ!」
「知らないわよ。私、小6の時からずっと、アンタの隣にいたよ。マジ、腐れ縁。一万時間位は経ってるんじゃないの?とっくに。」
「うるせーなー。」
「あんまり逆らうと、小6の夏の頃みたいに、キスしちゃうぞーーーー。きゃははははははは!」
「それこそ、うるせーよ。あんな交通事故みたいなチュー。」
「お互い、マジだったんでしょ?もう、素直じゃないなぁ。カズは。」
「マジなわけねぇだろ?ありゃ、俺が近づいた時にお前が振り返ってーーーー。」
「私は本気だった!マジだった!責任取ってってあの時言ったら、あんたも責任取るっていった!覚えてるもん。アタシ。」
「そりゃ・・・」
和真は口篭る。言葉にならない。地球と月が衝突したような奇跡的なキスをお互いしたのは間違いない。責任を取れと美由紀に泣かれたので仕方なく、永遠を約束した。しかし、ガキだ!今更ガキの時期の事をほじくり返されても困るのだ。
和真は美由紀に心を寄せているからこそ、余計に彼女には自分の真面目な思いを伝えるのがはばかられた。
「へーーーーっ。カズ、嘘つくんだ。」
「2人とも小6だぞ、もう、記憶にもないわ!だいたい、茶髪で髪の短い女に興味はないんだよ!」
「ひっど!」
そう言うと、美由紀は和真を力づくでつきとばした。そうして、彼は地面に身体を強か打った。
「あがあがあがあが、あが、足がいてーーーーーーーーー。」
「一生、柔道できない身体にしてやる!」
そう言うと美由紀は和真の身体に覆いかぶさった。そして、彼女の両腕を彼の首に巻き付けた。
「バカ!試合で怪我して、マジで心配したんだから!」
美由紀は和真の首筋にキスをした。
「汚ぇだろ!コノヤロー。首筋、汗くせーぞ!」
「うん。ちょっと、しょっぱい。でも、美味しい、アハハ!なんちゃって。」
美由紀の顔は日に照らされてその表情は分かり兼ねたが、顔色は真っ赤に染まっていた。舌を出して照れた。そう言う、可愛い女の子の表情が和真にはたまらない。
「てめえ、学校ですんな!」
「じゃ、家でならいいのね。何時にカズの事を襲っちゃおうかなぁ〜。」
「バカヤロウ!」
「凄い!照れてやんの、アハハハハハ!可愛すぎて、おっかしいの!」
「殺す、絶対、殺す。」
「アナタに殺されたら本望よ。なんちゃって。で、さぁ、冗談はいいけど、何時になったらボーカルやってくれんの?うちのバンドでさ。」
「もう、バンドの話は断ってるだろ?俺には柔道しかない。」
「もうすぐ、夏フェスなんだよ!恩納ビーチで!柔道よりも、もっと、ビックになれると思うけどなぁ。。。明日、Pってスタジオ知ってるでしょ?そこでバンドが音出ししてるから、来てよ。どうせ、足怪我してるんだから、当分、柔道はむりなんだからさ。」
「うっせーな!行かねぇーよ。」
「暇人!来てよね!待ってるね!」
美由紀は階下を降りて、和真から離れていった。一人、取り残された和真は。
「Pねぇ。。。」
と、途方に暮れていた。
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