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闘い①
和真と美由紀は学校から最も近いバス停から那覇の国際通りへ向けて運行しているバスに乗った。二人の通う高校から約30分の道程である。お互いバスに乗るのも隣同士。時折、手を握りながら微笑み合っている。完全に頭の中がお花畑だ。
美由紀は和真の顔を眺めては頬を赤らめ、彼の手をギュッギュッと何度か握り、表情を伺うように再び、顔を観て、また、顔を紅くすることを繰り返していた。しばらくすると、同級生も同じバスに乗っているというのに彼の方に自分の顔を埋め。照れる行為をする。
その仕草が可愛く愛しく、和真は思えて、二人掛けの席に座ってからも、ずっとイチャイチャしていた。
「10月ってのに暑いんだわなぁ~」
「海、行きたいけど水着がね。」
「それだよ、それ、美由紀の水着を誰にも見せたくない!問題、1986年のマリリン!by 本田美奈子!」
「あ、ということは、おヘソは出してもいいのネ。ヤッター!」
「バカか!不味いだろ?高校生がビキニとか。」
「え?ふたりとも県の迷惑条例と淫行条例に引っかかるんじゃないかなぁ。アナタは16歳、私は17歳。退学、決定的!」
「オマエ、やっと高校に引っ掛かって、何とか親も安心してるんだからな。これ以上、心配の種は・・・」
「真面目か!アハハハハハハハハ!可笑っしいの!」
「どこからが本気でどこからが嘘、なんだよ・・・」
「そうだよね。私も信じられない。幼馴染みが彼氏とか。」
「声がでかーーーーーーい!」
「ハイハイ、ホント、カズ君といると飽きないなぁ・・・」
「オマエ、今日、何があるか分かってるの?怒られるかも知れないんだぞ?」
「分かってるよ。」
「あ、カズ君、次ね。国際通りの映画館前のバス停で降りる。」
「あ、ハイハイ。」
『ピンポーーーーーーン!次、止まります。』
降りる客は和真と美由紀だけだった。タラップから地上に下りると美由紀がよろめいた。
「どうした?大丈夫かよ?ボーとしてねぇか?何か考え事?」
「ここ、一週間、何だか調子がよくないの。貧血かな?」
「ヤリ過ぎだ!もっと、押さえないと。」
「エヘッ!照れるじゃん。言わないのこれでも貞女なの。」
「何いってんだ、スレっ枯らし!」
「ちょっと、肩貸して。本気で乗り物酔いかな?」
「ハイハイ、輸血しに行こ。」
スタジオPは少し、歩く・・・
二人はバンドメンバーに案の定、怒られた。。。
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