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briliant shadow ③
20歳になって、俺が一端の男になっていたら、きっと美由紀が会いに来てくれる。
美由紀と我が子を守れる強い男になるんだ!昨日、和真は誓った。今、その瞬間だけ寂しかっては居られない。美由紀と将来、会えるはずの3年間に和真がやる事は多すぎる。
美由紀と釣り合う立派なパートナーになる事。子供の立派な父で居続ける事、二人を守れる経済力を付けること。
強い肉体を持つ事。
強い精神を持つ事。
強い経済力を持つ事。
守る!俺が二人を守る。
強い決意で日々を過ごした。
ツモリデイタ・・・
美由紀が消えて、バンド『Sea.dog』は現在は活動を休止しているような形になった。
ハズダッタ・・・
和真は今日も高校の図書館で勉強をしていた。どこに居てもどんな仕事に付いていても、学力は必要だ。20歳になった時、彼は大学生でありたかった、しかも、経済的にも自立した漢でありたかった。
必死に勉学に勤しんだ。
ハズダッタ・・・
11月のある日、まだ、沖縄に夏の名残りがあった、秋の気配の全くない、ある晴れた日、和真の家の電話が鳴った。『Sea.dog』の 麻里子からだった。
「おお!麻里子か!元気か!」
「カズくん、元気ーーーー!今、屋富祖大通りに居るんだけどさぁ〜。Fってライブハウスにで演奏してるんだけどさぁ〜。」
「相変わらず、バンドに燃えてるんだな。」
「美由紀がいなくなってから、『Sea.dog』は空中分解したからね。今日は「ヒガッチ&マリ」で那覇のライブハウスで演奏して来たよ!楽しかった〜。」
「そうか!楽しかったか!よかったな!」
ココデトマレバヨカッタノニ・・・
「・・・?」
「麻里子?・・・」
「カズ・・・ウチ、寂しい・・・ウチ、気付いたよ。ホントはカズくんに恋してたんだ。」
「な、なんだってーーーーー。」
受話器の向こう側からぐちゃぐちゃになった、麻里子の嗚咽がしばらく続いた。
「ま、麻里子?」
「今晩だけ、一緒に・・・いて・・・ほし・・・い・・・もう、どうにか、なりそうだよ!」
麻里子は叫んだ・・・
ダカラ、イッタダロ・・・
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