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Okinawa in March ➀
「国鉄民営化?沖縄?電車走ってねぇぜ、カンケーない。」
『Sweet Lychee』そんな能天気、裸天男と裸天女達である。そんな彼、彼女らのライブが始まった。
『Sweet Lychee』は初めて取り入れたQUEENのハードナンバーで聴衆の心を掴んだ、しっとりとしたBeatlesで聴かせる。その後、邦楽へ。アンコールは松田聖子と河合奈保子で大盛況のウチに幕を閉じた。打ち上げは懇意にしている那覇市内の個人経営の居酒屋だった。
「やったねぇ・・・オレたちが、ナンバーワンだったなぁ・・・打ち込みも間に合ったし。」
比嘉っちが悦に入って泡盛のロックを煽る。
「アンコールの松田聖子と河合奈保子も最高!原キー出てるもん。ホント凄いよ。衣装もね。似合ってた。スカートのフリフリ最強!」
麻里子が興奮気味に話す。
「あ~~~。明日から学校行けないね。オネェだ。オネェ・・・はぁ・・・もう2度と、フリフリはやらねぇ。」
「何言ってんだ、これから、菊池桃子も中森明菜もキョンキョンもやりたいし。」
「え???マジ?もういいちゅうねん。」和真がビールを煽った。
「君達、『Sweet Lychee』のメンバーだよね?」
3月と言うのにタオルで汗を拭いている中年の紳士に声を掛けられた。仕立てのよいモスグリーンのスーツと赤の吊るしを下げている。
「そうですけど、何か???」
「私はこういうものだが・・・」と白い紙きれ・・・名刺を差し出した。
沖縄ジェツ・ミュージックスクール・南部担当総括・新垣洋史とある。沖縄県民の取り分け、ミュージシャンの中では知らないものがいない地元の音楽事務所である。メンバーに緊張が走る。
「大きな、事務所の方が?」
「今日のライブ、観させてもらったよ。よかったよ!特にボーカル!変声期、まだ、来てないんじゃないの?てくらい最高。他の楽器も良かった。打ち込みも完璧だったし。久々に興奮したよ。」
「あざす・・・」皆、目礼した。
「君達、どっかの事務所、入ってるの?フリーなら、良かったら、ウチの事務所に遊びに来ない?話だけでも聴きにおいでよ。今日、一緒に出た。我塾丸ってバンドを追っかけてるんだけど、君達の音、いいなぁ・・・いずれさ、YAMAHAのポプコン出てみないか?自慢ではないが喜納聡美&マンゴーサワーのプロディースもさせてもらっている。」
喜納聡美と謂えば、地元のスーパースターだ。しかし・・・
「分かっている・・・ビックになりたいんだろ?ウチは東京のインディゴ・スターツともパイプがある。2.3年あれば、一気にスターだ。全国区だよ。」
メンバーの誰もが瞳孔が開いた。
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