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変わらないもの
「桔花!サークル何する?」
大学1年生の春。その日のオリエンテーションが終わりるなり同級生の安田七海が楽しそうに声をかけてきた。
「私は、とりあえず色々見学してみようと思う。七海は?」
「私も。この後一緒に見学行かない?」
「いいよ。今日はバイトないし」
そう言って桔花は書類をトートバッグにしまった。
幼い頃からずっと憧れていた大学の農学部に入学して初めてできた友達が七海だった。
県内の大学ということもあり別の学部には桔花の高校の時の友達もいたけど、桔花が通う農学部には知り合いが1人もいなかった。そんななかで入学式に声をかけてくれたのが県外の高校からきた七海だった。
桔花と同じく植物好きで将来は植物に関する仕事に就きたいという夢も同じということもあり2人はすぐに打ち解けた。
まだ出会って数日しか経っていないけど、七海とは仲良くなれそうな気がする。そんな予感がしていた。
いつものように雑談をしながら教室を出ると、早速サークルのビラを配る先輩達が声をかけてきた。
ショートカットの活発そうで背の高い女の先輩が桔花と七海に近寄ってきた。
「バレーボール興味ない?」
「あぁ、また検討してみます」
そう言って七海が先輩からビラを受け取った。七海は背が高い訳じゃないけど、どちらかと言うと大人しい桔花と違って明るくて活発なイメージがある。もしかしたらバレーボールの経験もあるのかもしれない。
そんなことを思って桔花はビラを見る七海に声をかけた。
「七海ってバレーしたことあるの?」
そんな桔花の質問に七海は首を横に振った。
「全然。渡されたから貰っただけ」
「そうなの?」
「うん。私、高校の時は園芸部に入ってたんだ」
「園芸部!?私も!」
明るくて活発そうな七海が園芸部に入部していたことはすこし意外だった。だけど、桔花と同じように植物好きな七海のことだから彼女が園芸部に入部していたことにも納得がいく。
「やっぱり!?桔花って園芸部っぽいイメージあるもん」
「そう?」
「うん、めっちゃそんな感じがする!」
そう言って笑顔になった七海は本当に嬉しそうで桔花も思わず笑顔になった。
その後も桔花はたくさんのサークルに勧誘された。バドミントン、ダンス、サイクリング、軽音サークル、語学系サークル、ボランティアサークル、美術、イベント系サークル…。
どの先輩もキラキラして楽しそうに見えるし文化系サークルは七海と一緒に見学したりした。でも、しっくりくるサークルは見つからなかった。
それは、隣にいた七海も同じだったようで彼女は面白くなさそうな顔で勧誘されて無理矢理連れて来られた料理研究部の話を聞いていた。
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