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後輩、カズくん
メッセージアプリなり電話をすればいいところだけど、この時ボクのテンションは恐ろしく高くて、つい家まで出向いてしまった。その場のノリっていうのは怖いと思う。
何のためらいもなく、ユメちゃんはインターフォンをポチッとしてみると、いきなり嫌な顔をしてきた。
「こんにち……うわ、事前連絡もなしに何なんですか、ユメ先輩」
「いひひ、実はちょっと今後のユメちゃんの配信についてお話がありまして」
一真くん、ボクの高校時代の後輩くんだ。ボクはカズくんと呼んでいる。一番のお気に入りだった子なので、近所に来てくれたのはすごく嬉しい。
けどカズくん、この島に来てからゲッソリと痩せちゃったんだ。なんでも神社で大変な目に遭っちゃったらしい。最近はちょっと元気になってきたかもしれない。オーディンズグングニルの攻略を手伝ってあげたからかな?
「配信ゲストぉ?」
「うん。今日、オーディンズグングニルのアプデじゃん。その中にマルチプレイ限定のなんかヤバめの内容があってさ〜、配信したいんだよね〜。手伝ってくんない? お願いっ!」
「ネッ友の皆さんにお願いすればいいでしょう。俺よりずっと上手いですよ」
「皆断っちゃって」
「は?」
カズくんは、明らかに頭が真っ白になってしまったという感じだった。それもそのはず、ボクとのマルチプレイの誘いを皆断るっていうのはよっぽどもよっぽど。その上でわざわざカズくんに話をしたということは……たぶん、理解してるよね。
「さあさあ、断ってもやるからね! バックレたら最低でも1000人くらいの人が肩透かしを喰らっちゃうことになるから、わかるね? 今日の20時から、最長で26時くらいまでやるからよろしくねー!」
「ヒエーッ!」
申し訳無いけど、また痩せてもらうことにしよう。
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