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同時接続者数、想定以上
ちゃんと約束(脅迫じゃない、断じて)を守ってカズくんはマルチプレイの参加申請を送ってくれた。場所もちゃんと合ってるようで、やっぱりデキた後輩だと思う。
時間にもなったし、配信開始。
「……と、声聞こえてるかな? こんばんは、夢見るみんなのために、今日もユメちゃんがんばりまっす! ごめんねー、アプデで即日配信とか普段やんないし視聴者参加型でもないのにマルチ配信とかもっとやんないことだしビックリしちゃったよね。でも思うにね、これ明日には修正されるまである重大バグだから急ぎたくって」
オープニングトークをしながら、チャット欄を見てみる。「こんな企画流石に視聴者の誰も参加したがらないから安心しろ」とか、「巻き込まれた後輩くんかわいそう」とか、「流石にユメもこれは厳しいだろ」とか、まあ予想できたコメントが流れているけど、重要なのはそこじゃない。
同時接続者数、配信開始直後時点で既に2000人突破。ウソでしょという声が漏れる。
「開幕からこんなに人多いよ! カズくん人気者じゃん! あ、今回のゲストのカズくんね、配信タイトルにもある通りボクの後輩だから」
「みんな先輩にドン引きしてるんだと思いますよ。あ、カズくんは俺のことです。先輩にはこのゲームの攻略法教えてもらってかなりお世話になってます。視聴者の皆さん、いつも先輩がご迷惑おかけしてます」
「なんだとこのやろう!」
最後の一言があまりにも余計すぎて、しかも予想外すぎて思わずガチな声になってしまう。まるでボクが変な人みたいじゃないか!
「いやだって、ご迷惑おかけしてないはずないでしょうが」
「人聞きが悪いにも程があるよー! ねえ、皆どう思ってるの?」
チャット欄には「こいつの扱い慣れてんな」「流石はリアル後輩なだけあるわ」「的確にユメちゃんの弱点疲れてて草」「プンプンしててかわいい」……どうやら、ボクの味方はいないみたいだ。
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