1章:初めましてが最悪だった。

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 すると彼は私のストレートな質問に対し、わかりやすく動揺して目を逸らす。そういう反応をするって事はやっぱりビンゴか。  本当、2年だけでも付き合っていると、些細な仕草だけで何を言いたいのかわかるものね。  先月の飲み会というのは、ウチの会社の支配人が退職してしまう関係で、お疲れ様会も兼ねての席として開催したもの。だからもちろん私も出席だし、なんなら幹事として忙しく動いていた側。  そんな席で自分の彼氏に新しい恋が始まっていたなんて、誰が想像するよ?  そしてその相手がまさか同じ職場の子だなんてーーー 「ねぇ……その彼女ととか言わないよね?」 「えっ」  ハッとしたような反応は、まさに肯定そのもの。この話題に触れれば触れるほど本音が態度に現れるし、比例して私に衝撃が走る。  “寝た”なんて、なんとなくの胸騒ぎからで口にしたものだったけど、まさか事実だったとはな。 「ヤッちゃって好きになったんだね……」 「それは違うっ!」    食い気味にハッキリと否定する彼からは、さっきまでの曖昧さなど無く『勘違いをするな』とでも言いたいように聞こえる。  何がどう違うの? ヤる前から好きだったとでも言いたいの?……なんて聞いたところで、言い訳を受け入れられる余裕なんて今の私に持ち合わせていないんだけど。
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