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アクマダの体は貨物列車に轢かれ、バラバラに飛び散った。葬儀のとき、棺には、かろうじて原形を留めていた両腕が入っていたらしい。
六年一組を震え上がらせたそんな噂が、脳裏に蘇る。
「地獄までェ、一緒に行こうなァ、篠藤ィ……」
血まみれの両腕が私を縛りつけたまま、座席がゆっくり下降し始めた。
足が、腰が、ずぶずぶと暗い地面に沈んでいく。
「いや……っ」
救いを求めて見上げれば、夏の夜空にメテオ・ストライクの支柱がライトアップしている。その上に、大きな花火が打ち上がった。
キラキラ眩ゆい、束の間の夢。
その残像を映したまま、私の瞳までが、ドプンと黒い泥濘に呑み込まれた。
ガコン!
振動を合図に、垂直落下が始まる。
加速度をつけて、座席は暗闇に落ちていく。アクマダに捕らえられた、私を乗せて。
私は知ってる。
この落下がもう、地獄まで止まらないことを。
「ウキョキョキョキョ!」
【了】
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