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Underground
「肩ハーネスが上がるまで、そのままお待ちください」
係員の声で、我に返った。座席は出発点に戻り、周りからは「怖かったぁ」「楽しかったねぇ」という声が聞こえてくる。
「生きてる……?」
信じられない思いで、私は地面についた自分の足を見つめた。
アクマダの声は、まだ脳にこびり付いているのに。
まさか本当に、ただの幻聴だったのだろうか。
それとも、謝ったから許してもらえた、とか……?
「シートベルトを外して、お気をつけてお降りください」
アナウンスに従って、震える手をベルトにかける。が、なぜかバックルが外れない。ハーネスも、肩をがっちりホールドしたまま上がらなかった。
焦って周りを見回しても、係員はいない。目の前を横切った三人組に、思わず声をかけた。
「あの……っ」
女子高生の一人が、神妙な顔で振り向く。けれど私と目が合うことはなく、彼女は隣を歩く友達にささやいた。
「あの噂、本当だったんだね」
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