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「いやぁ、最高だったよ。本当に満足だ。やはりセントラルの娼婦はレベルが高いねぇ。久々にシたからか、少しばかり身体が怠い気がするが、これもまた一興。ガハハ」
夜も明け、セントラルの街は淡い朝陽に包まれ、建物の影が煌めく。
昨晩はショーンの読み通り、何の問題もなく今日を迎えることができた。
「...左様でございますか。フィン様のお眼鏡にかなったのであれば幸いです」
「よし、そしたら今日は昼のパーティーまで久々にこの街をゆっくり見て回ろうじゃないか。たしかリッチモンドの奴が最近ソレリア通りに宝飾店を出したんだったな。恩を売るついでにたらふく買い上げてやるとするか」
ドリストは太い指につけた金色の指輪をひと撫ですると、廊下に待機させていた自身の秘書を連れてホテルの外へと向かっていく。
それを見たノイはルーカスとアイコンタクトを交わすと、先導させるような形でルーカスをドリストの前に配置した。
「おい、若造。俺の前に魔族なんぞを立たせるな!視界に入るだけで不快だ」
「...これも職務を全うするため。ご理解ください」
「チッ...相変わらず生意気な男だ」
ドリストの言葉はルーカスにも聞こえているはずだが、ルーカスは一瞬振り返っただけでノイの応対に満足げに頷いて、何食わぬ顔でその先を歩き始める。
そこにはたしかな『信頼関係』が窺えて、人間の仲間ですらそんな関係を築けていないショーンは少しばかりの負い目を感じる。
「...コリンズ、余計なことはするなよ」
「善処はします」
「...」
後ろを歩くノイに忠告をしてものらりくらりと躱され、そんな反応にすらもショーンは沸々と敵対心を燃やした。
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