因縁の交錯

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宝飾店での買い物も終え、一行は今日執り行われるパーティーの会場へと足を運んでいた。 会場には既に各方面の有力者が顔を揃えていて、このチャンスを逃さんと言わんばかりに煌びやかに会話を楽しんでいる。 「ではフィン様、私達は会場の隅で待機しておりますので。何かございましたらお声かけください」 「ああ、わかったよ。...お、あれはフィンネルさん...!フィンネルさん、どうもどうもご無沙汰しております!先日は...」 会場に入ったドリストも精力的に動き出して、それを見届けたショーンは束の間の休息を得る。 小さく溜息を吐いて、入り口付近でドリストの様子を注視していたらしいノイの隣に並んだ。 「...ここまで来ればもう何も心配することはないだろう。パーティーが終われば後は見送るだけ。君の心配も杞憂に終わりそうだな」 ショーンの言葉にノイは、「杞憂に終わることを願っています」と最後まで同調するようなことはしなかった。 ◇◇◇ あれから暫く経ち、パーティーは滞りなく円滑に進行していく。 しかしそんな中、煌びやかで広い会場の空気がざわりと揺れた。 ショーンが不思議に思いながら人々の視線の先を追えば、そこには見知った顔ぶれが見える。 「...父上、」 無意識のうちに小さく呟かれたその言葉に、ノイもショーンを追うようにして視線を向ける。 ───デイビッド・ダグラス。 セントラルの激戦の地で、以前から長年にわたって家族経営で今の地位を確立し続けている、所謂「エリート一家」。 父親であるデイビットの隣には、息子であろう青年二人も得意げな顔で控えている。 「...大尉、挨拶に行かれるのであればここは私に任せてください」 「は、何を言っている。私は今公務中だ。お前如きが余計な気を回す必要などない、不愉快だ」 「そうですか。失礼致しました」 ノイの提案にもショーンは毅然とした態度で振る舞い、その視線をすぐに護衛対象であるドリストへと向ける。 しかしその内心は、自分とは違い父親から「期待されている」兄弟達への劣等感で溢れていた。
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