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あれから30分ほど経ち、聞き耳を立てていないショーンの元へも娼婦の喘ぐような声が微かに届いてくる。
不快としか言いようのない状況に一体何を聞かされているんだと辟易するが、突如としてその声がぴたりと止む。
不思議に思い視線を上げれば、同じく中の様子に異変を感じたらしいノイはルーカスと視線を合わせ、扉の傍に身を寄せたまま手にしていた武器を構えて頷き合う。
そんな二人の様子に、ショーンは慌てて扉の前に立ち憚った。
「おいお前達、待て。...まずは私が確認を、..っ...!」
そしてノイに対し制する言葉を投げ掛けたその時、ショーンの腕はノイによって掴まれ、思い切り体を引き寄せられる。
それと同時に先程までショーンが立っていた扉には鋭利な黒い棒状の何かが音もなく突き抜けて、誰もいない廊下の壁に刺さる。
「...なっ..、」
「...大尉、事は一刻を争います。戦闘に参加する気がないなら安全なところへ逃げてください」
「...、」
「ルーカス、突入するぞ。目を開放しておけ」
「はい!」
突然の「奇襲」に呆気に取られていれば、ノイは抱いていたショーンの肩を突き離すようにして押すと、すぐに部屋へと続く扉を勢いよく開け放った。
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