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「...くく...貴方、本当に察しがいいわね。でももう遅い。そんな碌でもない男を庇うような奴等も皆殺しよ」
扉の近くにいた女は瞼を閉じたままそう言って笑うと、手錠で拘束されているなか僅かに自由の効く自身の両手の指をがちりと合わせて術を唱える。
「....炎闇融合」
「...っ...!それは...、!」
───妖魔族にとって、最強にして最期の技と言われている魔術。
その所以は、
「全員、ここで死になさい」
───自身の身体を燃え盛る炎に変え、他者を焼き尽くす。...所謂、代償魔術。
その威力は計り知れず、こんなにも狭い部屋の中では簡易的なベッドに身を隠した程度では逃れる事はできないだろう。
ノイは頭の中でそう悟るも、ルーカスはその呪文を聞いた瞬間には無意識に体が動き出していた。
そしてそのままノイ達の元へと走り、床を蹴って宙を浮いた状態で体を反転させて、瞬時に女へと向き直る。
「...蛇眼隔壁!」
ルーカスの唱えた呪文にノイは大きく目を見開いて、目の前で自分達を守ろうと必死に行動に出る部下の後ろ姿から目を離すことをしなかった。
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