154人が本棚に入れています
本棚に追加
/292ページ
「ノイ〜、スレイドめっちゃいい奴じゃん!今日部屋泊まらせてもらうことになったわ!正直あの人たちと同じ宿とか気狂いそ...、って、あぁ...中佐いるんだった。何でもないっす」
「...ガラフ、お前な...」
「あーわかってるわかってる。ノイも中佐と同じように「少しは緊張感を持て」って言うんだろ!言われなくてもわかってますよーだ」
「...わかっているならそれを行動に移す努力をしろ」
二人きりであった時間も束の間、執務室には騒がしい声でガラフが姿を現す。
その後ろにはガラフを追ってきたスレイドもいて、ノイはショーンに一瞬視線を向けたかと思うと、すぐにいつも通りガラフの応対をした。
「つかノイ、飯は?これから食うなら早くしねぇと。そろそろ食堂も閉まるんだろ?」
「少佐、あと20分です。もしお忙しいようであれば、いつものパンとスープを僕の方で調達してきますが」
「...いや、大丈夫だ。作業のキリも良いし、適当に街に出ることにする」
「え!先それ言えよ!だったら俺も我慢したのに!」
ガラフからはやんややんやと文句を言われるが、ノイはそれをいつものように宥めて、ガラフの隣に立つスレイドに声を掛ける。
「スレイド、明日は演習風景を視察したいとのことだった。急で悪いが対応を頼めるか」
「もちろんです!最近体を動かしてなくて鈍っているので、明日は僕も演習に参加しつつ、セントラルの方々をご案内しますよ」
「ありがとう。しかし君もまだ病み上がりだ、くれぐれも無理はするなよ。それと、ガラフについてもよろしく頼む」
「はい!」
ノイはスレイドにそう伝え、ゆっくりと部屋の中を振り返る。
その視線の先にはショーンがいて、まさかここでその目がこちらを向くとは思っていなかったショーンは驚いたように肩を揺らした。
「...中佐、不慣れな街でしょうから、よろしければ宿までお送りします。いかがでしょうか」
「...っ...、いちいち私に構うな。一人で勝手に夕飯でも食べに行けば良いだろう。」
「そうですか。それでは私はユース酒場へ向かいますので、本日はお疲れ様です」
先程とは異なる「いつもの姿」に戻ってしまったショーンにノイは敢えてその行き先を口にして、ぺこりと一礼するとその場を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!