代償

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「んー、美味しい...こんなに美味しいなら、治療もなんの心配ないなぁ」 一人になった部屋で、レオナは出された食事を手を止めることなく食べていく。 肉は少々脂が多く、今まで食べてきたものと風味も異なるような気もするが、こってりとした味付けもありそこまで気にならない。 そしてスプーンで再び料理を掬い、口の中に放り込んだ時だった。 ───... 「...っ、...げほ、」 ガリ、という何か固いものを噛んだような食感に、レオナは思わず口に含んでいたものを手のひらに吐き出す。 食べ物ではなさそうなそれが一体何なのかとまじまじと見つめてみれば、どこか見覚えのあるもののような気がした。 「...、これ...石?....僕が森で拾ったのと、同じ色...」 何でこんなものが食事の中に───... そんな事を考えていると、先程まで特段感じることのなかった違和感が身体にあることに気づく。 わずかならに手足の先が痺れ、視界が徐々にぼやけた。 それと同時に視界に入った自身の腕には普段見ることのない血管が浮き出ていて、驚いたレオナは思わずその手に持っていたスプーンを落とした。 からんからんと音を立ててスプーンは床へ転げ落ち、後ろについた手は真っ白なベッドを汚す。 しかしそんなことを気にする余裕もなく、今度は身体中が煮えたぎるような熱さを孕み始めた。 「...、っ....なに、なんなの...、痛い..、!」 自身の体の中で、何かとてつもないことが起きている。 それだけはわかるものの、今まで経験したことのない違和感にレオナはどうすることもできない。 息苦しさにもがいて声を上げようとしてもそれすら叶わなくて、レオナはぼんやりとする思考の中で、意識が途切れるその直前まで大切な家族である兄の名を呼び続けた。
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