代償

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中へと入れば、その先には転々と付けられている蛍光灯のみが照らす長い廊下が続いている。 どこからともなく人の話し声が聞こえることからするに、いつ組織の人間と鉢合わせてもおかしくはない状況だろう。 壁には数字と何かの頭文字だけが書かれた看板がかかっており、各部屋を指し示すものだろうと踏んだノイは、懐から手鏡を取り出して廊下の角へと差し込む。 「...誰もいません。...ひとまず二人を探します、付いてきてください」 そう言って廊下の角を曲がるノイの後をブラーグも追い、嗅いだことのない独特な臭いの漂う空間を駆けた。 ◇◇◇ 「...ぁ、ぐ...ぅ...、」 目を覚ませば、何もかも白い部屋の中は眩しくて、思わず目を細める。 ゆっくりと身体を起こすとずきりとした痛みが身体中を駆け巡り、レオナはその小さな身体をびくりと震わせた。 そしてもう一度ゆっくりと目を開けてみれば、なにやら視界がおかしいことに気づく。 それと同時に、額を何か生ぬるい感触が伝うのを感じた。 「...っ..、」 嫌な汗が滲み、前髪が額に張りついている。 ───いったいあの後、僕は...、 自身の置かれた異質な状況にレオナは混乱しつつも、汗を拭うために額へ手を伸ばす。 それと同時に、本来額にあるはずのない凹凸が指先に触れて思わず体が震える。 「...、...!」 これはおかしい。絶対に、何かがおかしい。 レオナは誰もいない真っ白な部屋で、自身の体の変化と節々が痛む身体の感覚に、底知れぬ恐怖を覚えた。
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