転機

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「少佐、そろそろ出発のお時間です。」 「...はい、すぐに行きます」 いよいよか。 今日でセントラルともお別れだ。 ここには特段の思い入れもないが、やはりいざ離れるとなると少しばかり気持ちは沈む。 軍から用意された車に乗り込めば外から名前を呼ばれ、ノイは少年らしさを残した聞き覚えのあるその声に窓の外を振り返った。 「...ガラフ、公務中だろう」 「これも公務です」 ガラフの目元は僅かに赤く腫れている。 こんな自分が居なくなることを、少しでも寂しく思ってくれているんだろうか。 そう思えば、いつものように茶化すこともできない。 ノイは真っ直ぐにガラフの嘘偽りない目を見据えた。 「...少佐、どうかご無事で」 「心配するな」 「...っ....死ぬなよ、ノイ」 「ああ。ガラフ、お前もな」 友人として最後の言葉を交わし、車は静かに走り出す。 ガタガタと揺れる車内では窓の外を流れる景色を眺めることしかできなくて、この先にどんな困難が待っているのだろうかと一人ぼんやりと考えた。
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