20人が本棚に入れています
本棚に追加
「おやおや、人は見かけによらないねぇ。恋をしてみたいと思わないのかい?」
「どうなんだろう…、それさえも分からないの。けれど、別にしなくてもいいかなとも思うわ。恋愛が人生の全てではないだろうし…。ほら!恋愛以外にも、大切なことってたくさんあるじゃない?」
「それはそうだねぇ。けれど、恋愛が加わると人生の‟色味”も変わったりするものだよ。どれ、せっかくだから特別に、この場で少し貸してあげようかねぇ」
「えっ?」
よっこらせと立ち上がったお婆さんは、棚から何かを取り出し、すぐにこちらへと戻ってきた。
「私がレンタルをしているものは、これさ」
「これって…」
そう言って、お婆さんが私の前に差し出してきたものは、なんとピンク色のヘルメット。
この空間にあまりにも似つかわしくないそのヘルメットは、一見何の変哲もない。
これをわざわざレンタルしているとは、いったいどういうことなのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!