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それはまるで、映画を観ているような自然な感覚だった。
この時私は、先輩と仲睦まじげに手を繋いで帰る亜美奈の姿をハッキリと、瞼の裏に見ることができたのだ。そして、それと同時に……
「胸がドキドキして、なんだかほわほわと温かい…。こんな感覚初めて」
「ほっほっほっ、そうかいそうかい。お前さんが今思い浮かべている友達は、いい恋愛をしているんだねぇ」
「えぇ。最近ね、同じ部活の先輩と付き合いだした子なの。幸せそうだけれど、代わりに私のことはほったらかしなのよ」
ヘルメットを取りつつ、私は頬を膨らませた。
…本当はもっと見ていたいし感じていたかったけれど、なんだか亜美奈に悪い気がしてしまったのだ。
「そうかい、それは寂しいねぇ。でも、友達が幸せなことは、嬉しいことでもあるだろう?」
「まぁ……それはそうね」
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