レンタル恋心

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「あれ?」 さすがに引き返そうと踵を返したその時、通りの一番奥に一つ、明かりが灯っているお店があることに気が付いた。 それを見た次の瞬間、私はなぜか吸い込まれるように、そのお店の前に足を運んでいた。 「レンタル…肝心なところの文字が見えないわ」 表に掲げられている看板も、随分と年期が入っているようだ。 塗装が剥がれ落ちていると同時に、所々へこんでいる。そのおかげで、後半の文字が分からなくなっていた。 「いったい何屋さんなのかしら…。パッと見、雑貨屋さんぽいけれど」 アンティーク調の骨董品が陳列されている窓の隙間から、背伸びをして中を覗く。しかし、これといって人の気配は感じられない。
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