レンタル恋心

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まぁ、80代くらいのお婆さんだし、何か変なことをされるなんてこともないだろう。 せっかくの親切心を仇で返すのも何だと感じ、私は一度頷きを見せ、お婆さんの後に続いて店内に足を踏み入れた。 「わぁ!素敵なお店ね!」 ドアを閉め、店内を見渡し私は目を見開いた。 窓から覗いただけでは全体の雰囲気までは分からなかったが、店内にはいくつもの洒落たランタンが置かれていた。 そしてそれを囲うように、アンティークな雑貨にフランス人形、木馬やロッキングチェアが置かれ、まるでおとぎ話にでも出てくるような空間が、そこには広がっていた。 おまけに、小さいけれど暖炉まである。 「お店の外に漏れていた明かりは、このランプ達だったのね」 ランタンを一つ手に取った私は、そのままロッキングチェアに腰をかけた。 その反動で、キィッと音を立てて椅子が揺れる。
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