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ほっほっほっと笑うお婆さんは、そう言うと自身も向かいのチェアに腰をかけた。
「なによぉ、勿体ぶっちゃって。何をレンタルしているかくらい、教えてくれてもいいでしょう?」
唇を尖らせつつカップに口をつける。
年配の人が淹れてくれる飲み物は、ほうじ茶や緑茶かしらなんて偏見があったけれど、カップの中身はレモンティーだった。
ほんのりと甘酸っぱい味わいが、口の中にじんわりと広かっていく。
「お前さん、高校生かい?」
「えぇ。西陵高校の2年よ」
「高校生のうちからすでにその美貌だ。さぞかし言い寄ってくる男の子は多いんじゃないのかい?」
「…そんなことないわ。今までに好きな人だって、できたことないし」
なんとなく、語尾が弱まってしまった。
ここに来ても尚、恋愛話をする羽目になるだなんて、思ってもみなかったことだ。
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