爺ちゃんっ子

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爺ちゃんっ子

 生まれてすぐには母方の祖父母の家に預けられて育った為、私は所謂「爺ちゃんっ子」だ。  いつも優しい婆ちゃんと重度知的障碍者の伯父にも可愛がってもらったけれど、初孫だったのもあったからか爺ちゃんには特に可愛がって育てられた。  爺ちゃんは優しいだけじゃない。とても厳しい人だった。  だけど、私の知らない過去の日本のことを沢山教えてくれた。  私はそんな爺ちゃんの話を聞くのが大好きだった。  特に戦時中と戦後の復興の話はよく話してくれた。  どんな思いで戦っていたか、現地の様子はどうだったか、生の体験談はとてもリアルで教科書で習う内容とは全然違った。  終戦後、帰国した爺ちゃんは国内の荒廃っぷりを見てこう思ったらしい。 『本当の戦いはここからなのだ』と。  そうして爺ちゃんは刑事になった。強盗殺人課、一般的には捜査一課と呼ばれている部署だった。  もう亡くなってしまったれけど、ここには爺ちゃんとの思い出を書き残していきたいと思う。  別に誰かに読んでほしいという思いより、私自身が忘れないように。  そしてもし、読んでくれる人がいたら先人達の思いで今の日本があることを少しでも知ってくれたらいいなと思う。
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