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「休んでいるさ。この事務所でね」
先野は飄々と言い放った。
屁理屈にもほどがある。
「しょうがないわねぇ……。休むんなら自宅で休んでもらわないことには、部長に文句を言われるのはあたしなんだから」
「そのときはおれが矢面に立ってマネージャを弁護するさ。おれは事務所でもじゅうぶんリラックスさせてもらってるってね。それに、なにか突発的な案件が発生したら対処できるしな」
そんなことにならないよう、あたしが目を光らせているのよ、とマネージャはのどまで出かかったが、そこへスマホに着信があり、トップスのポケットから取り出した。会社所属の探偵からだった。
「はい、どうしました?」
すみません――と、いきなり謝られた。
「帰りの飛行機が遅れていて、今日の午後からの出社に間に合いそうにないです」
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