仕事人間

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「そいつは大変だな!」  先野の目が光った。開けていた週刊誌をパタンと閉じる。 「突発的案件の発生ってわけだ」 「先野さん、うれしそうね……」 「他の忙しい探偵(しゃいん)に代わって、おれが対応しよう」 「先野さんは休暇中なんですよ」 「おれならかまいやしねぇ」  ニヤリとする笑顔が気持ち悪かった。 「――任せときな」  マネージャは深くため息をつく。実際問題、手のあきそうな人員をあちこち当たって確保するよりも、目の前の暇そうな探偵に対応してもらうほうが確実であった。 「わかったわ。じゃあ、お願いするわね。事前に電話でうかがった依頼内容をざっと説明すると……」  マネージャはスマホを操作し、クラウドに保存したデータベースを呼び出す。勤務時間の管理表を書き換えなくてはならなかった。  依頼者が来たと受付から聞いて、先野は、事務所の横に併設されている面談ブースへと満を持してやってきた。
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