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外務大臣が知る由もないが、回収を依頼した下請け業者はペパマシェカラスチ公国からストロウ共和国に入り込んでいた工作員。ブラックボックスに記録されている自爆の事実を封殺するために、早々にペパマシェカラスチ公国に返却したのであった。
尚、その下請け業者の工作員であるが…… 店を畳みペパマシェカラスチ公国に悠々と帰還している。
大統領が財務大臣を諌めた。
「まぁ、終わったことは仕方ないじゃないか。過去の過ちを振り返ったところで戦況は変わらないよ? それより今をどうするかを考える方が先決だよ」
財務大臣は鼻息を荒くし、顔を歪ませた。
「一体、国家予算の2倍程の賠償金を払うと言うのに何が不満なのだ!」
外務大臣がうんうんと頷いた。
「あの国は経済が大変でな、国家予算の2倍では姑息的にやり過ごせてもこの先が持たない。おそらくは我が国を傘下にすることを狙っているのでしょう」
財務大臣は拳を作り、机を叩いた。
「銭ゲバ国家め! 我が国に軍事力が無いと知ってついに牙を剥いてきたか! だから、防衛力を高めようと言ったのに!」
このストロウ共和国には軍隊が存在しないために防衛大臣は存在しない。国防に類するものは警察である。警察庁長官が申し訳なさそうに挙手をし、嫌味混じりの怒気を込めた声で述べた。
「自衛の為の軍を持とうと提案したのに、国際世論の反感や、武装を持たない永世中立だのと言って武装を望まなかった国民性が悪いのではないだろうか!?」
確かに、軍隊の保持は何度も何度も議論されてきた。しかし、その度に一部議員の猛烈な反対、国民投票でも圧倒的反対で成されずにいるのであった。今回の危機は武力さえ持たなければ恒久の平和が約束されると思い込んだ国民の平和ボケが生み出したと言ってもよいだろう。
大統領は円卓を見回した。空席があることに気が付き、首を傾げた。この国家の非常時に何をしているというのだろうか。
「学校教育大臣と道路交通大臣と農業水田大臣の姿が…… 見えないようだが。体調でも悪いのかね?」
外務大臣は舌打ちを放ちながら説明に入る。
「彼らは亡命しました。今はペパマシェカラスチ公国にて国賓待遇だそうです」
「う、裏切ったと言うのか!」
大統領は激昂し、頭を掻き毟るように掻きながらペンを投げつけた。
外務大臣は説明の続きを行う。
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