同期のいけ好かない首席と次席

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「クリス姉、金あんの?」 「あるある、だいじょーぶ。ついこの間給料日だったし」  クリスはグラスに口をつけながら少し眉を歪める。 「今超忙しいんだよ、お前らがやったあれの後処理で。しばらく来れないからおっちゃんのごはんたらふく食っとかないと」  あれ、というのは、つい先日の憑魔騒動だ。大した被害はなかったものの、国民が混乱していて騎士団は対応に追われているらしい。テオは怪訝な顔をする。 「俺らのせいみたいな言い方しないでよ」 「ははっ、アタシを置いておもしろそーなことした罰だ。あいつらもなーんも言わずに遠征行きやがって……」 「あいつら、って」 「オーウェンとコンラッド」 「知り合い?」  テオは意外そうに目を丸くする。クリスは不満気な顔のまま頷いた。 「同期だよ。名前は言ってなかったっけ」 「あ……もしかして『同期のいけ好かない首席と次席』みたいなやつ?」  テオはクリスが昔言っていた男たちの話を思い出す。クリスの代の入団試験でトップ2だった、嫌味なぐらい強くてムカつく2人組。文句を言いつつ毎回話に出てくる、なんだかんだ仲が良さそうだった友人たちだ。
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