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次の日は当然、タクトもナオも来なかった。
夕方、ヨウが来ることになっていたが、会うのが不安になってきた。
ヨウが本当は、自分の事をどう思っているのか、気になっていたからだ。
病室のドアが開くと、ヨウが儚げな笑顔で現れた。
「大丈夫?この間は体調悪そうだったから」
ヨウが椅子に座ると、いつもなら近況を伝えあう所だが、先に疑問に思っていた事を確認することにした。
「ヨウ…俺はどんな人だった?」
ヨウは微かに微笑み、長い髪を耳にかけた。
「どうしたの?」
「タクトもナオも…俺の事はクズ人間だと言っていた」
「それは…」
「俺、怖いんだ。君が…違う目的のために、俺にウソをついて近づいているんじゃないかと」
自分は先日タクトとナオに言われた事をヨウに吐き出した。心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
「本当の俺は…」
そこまで言うと、体に暖かい温もりを感じた。ヨウが抱きしめてきたのだ。
「落ち着くまで…こうしてるね」
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