アイが正しかった

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今まで感じたことのない暖かみだった。記憶は失くなってるが、細胞レベルで、初めて感じる感覚だった。 ヨウの胸から、ドキドキと大きな鼓動を感じた。 「こんなことするの…恥ずかしいんだから」 ヨウはそう呟くと、小さく笑った。その体勢のまま、ヨウは話を続けた。 「本当のあなたは、人の痛みが分かる優しい人なの。でも周りはあなたを妬む人や、自分勝手な目的で付き合う友人しかいなかったの」 ヨウは背中をトントン叩きながら話をした。 「あなたは友人達と付き合っていくうちに、人間不信になっていったの。本当は優しくて、素直なのに」 目から暖かいものが伝うのを感じた。感情が溢れたモノだった。 「他の人がどう思っててもいいよ」 静かな病室に、自分の嗚咽の音が響いたが、ヨウは、しばらく、いいんだよ、と言っているかのように背中を擦ってくれた。
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