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その日から検査が始まった。
脳波の測定、CTスキャン、レントゲンなど、様々な検査の結果、医者が弾き出した病状は『健忘』いわゆる『記憶喪失』だった。
自宅マンションの階段で倒れているのを発見されたらしい。
携帯電話は無かったが、財布の中の身分証から、分かってることは、自分は大学生で、マツヤマコウスケという名前がある事だけだった。
検査が終わり、だだっ広い病室には自分1人だけだった。
しばらくすると、部屋のドアがノックされ、二人の男女が入ってきた。
「おっすー、コウスケ。怪我は大丈夫か?」
「聞いたよー。記憶喪失なんだって?」
1人はサングラスに、黒いシャツにデニムと蛍光色のスニーカーを履いた男。
もう1人は、Vネックのカットソーから胸元が大胆に開いている。ブランドのバッグと金髪の明るさが目立つ女だった。
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