アイが正しかった

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そこから何日かは、検査と、記憶を取り戻すための療法を繰り返した。 その間、タクトとナオが、何回か病室に来て世間話をしていったが、話す内容は、いつも同じ、派手で盛大なパーティーの話だった。 どうやら、俺の親が政治家らしく、タクトやナオも連れて、クラブを貸しきった盛大なパーティを頻繁に行ってたらしい。 しかし記憶が戻らない今の自分には、ただのお伽噺にしか聞こえない。 普通であれば、一番に心配して来るはずの親が一度も、会いに来てない事にも、不可解に感じたが、普段から薄い関係性だったのかもしれない。 自分の事なのに、他人の話を聞いているみたいで、退屈な日々だった。 そんな日々のなか、ふと気になる事ができた。 毎回、病室から他の部屋に移動する際に、ある長い黒髪が特徴の女性を見かけるようになった。 最初は、他の人の見舞いかと思っていたが、一度だけでなく、毎回、通路を通る度にチラッと目を合わせてくれる。 しかし、目を合わせるだけで、病室に入ることはしなかった。 タクトやナオとは違い、仕草や見た目が落ち着いている女性だった。
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