0人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
もしかしたら、自分の事を何か知ってるのではないか、と思った。
次の日、検査はない時間だったが、病室の外に出ると、やはりその女性が病室の前にいた。
絹のように、長くきらびやかな黒髪に、淡い青色のワンピースを着ていた。
何か現状を打破するためのヒントになると思い、意を決して声をかけようと思った。
話しかけようと彼女に近づくと、自分の声より先に、風鈴を思わせるような透き通った声が響いた。
「こんにちは…コウスケ君」
自分に向かって、彼女は首を斜めに傾け、目尻を上げた。
「もしかして…俺の事知ってます?」
そう言うと、彼女は周りを見渡すと、肘をクイっと引っ張ってきて、耳うちしてきた。
「私は…あなたの秘密の恋人です」
最初のコメントを投稿しよう!