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次の日から、ヨウは毎日病室に訪れた。
タクト達は、3日に1度、見舞いに来るくらいだったため、ヨウと一緒にいる時間の方が長くなった。
タクトとナオはいつも、愚痴や、いつ遊びにいけるかなど、自己中心的な話しかしないが、ヨウは優しく、記憶が戻るように、過去の思い出話をしたり、差し入れの果物を食べやすく剥いてくれたりしてくれた。
ヨウは、別々の大学に通っていて、大学間交流のために、自分の学校に来て、道に迷っていたヨウに、道案内をしたのが出会ったきっかけらしい。
次第に、ヨウと話をする事の方が心地よくなってきて、彼女に会える日は毎日ドキドキしていた。
「なんか、ヨウと話してると安心するよ」
花瓶の水を取り替えてくれているヨウに向かって言った。
「そう…なら良かった」
ヨウはそう言うと、また明日ね、と出入り口に向かった。ドアに手を掛けようとしたところで振り返った。
「明日は晴れそうだから、外に出て話そうか?」
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