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タクトは誰かと電話で話してるようだった。盛り上がっているようで、声量が壊れたTVのように大きくなっている。
「マジなんだって!あいつホントに記憶無いんよ!」
話してるのは自分の事だ、と思い、意識を会話に向けた。
「いや、アイツの親父に、見舞いに行ったら金を渡すって言われてるから行ってるだけだから!」
自分の耳を疑った。考えがまとまらないうちにタクトは話を続ける。
「親父の力が無けりゃ、あんなやつただの財布代わりのクソ野郎なんだから。!ははは!」
気がついたら、足元に落ちていた石を、喫煙ルームに向かって投げていた。
激しい音をたてた後に、中からタクトが出てきた。
こちらの姿を見ると、やべっ、と小さく呟き、その場から立ち去った。
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