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俺はクリーム系の方が好きだ。もっと言えば、あんこの方がさらに好きだ。
今日のおやつに、モンブランを選んだのは、棚に一番多く残っていたからであって、こいつの好物だからという理由ではない。自然とそっちに手が動いただけだ。
「メシ、何?」
「んー、今日はおでんにしました。大根は部屋に来てからずっと煮ておいたから、シミシミですよ。佐伯さんの分は卵2個、茹でておきました」
「ふーん」
「モンブランはあとで食べましょうね。さきに、お風呂入ります?」
「……」
とにかく世話を焼いてくるが、何故か鬱陶しくは無い。自分より一回り以上若く、一回り大きな体格の、バカ面の男だ。なぜか判らないが俺様は、こいつに部屋のカギを渡す程度には、油断しても大丈夫だという認識に最早なってしまった。
「ね、佐伯さん。風呂で背中流しましょうか?」
「やだよ」
「俺、したいなー」
「知らね」
そう言うと、一応シュンとしやがる。腹立つなー。
「……勝手にしろ」
「はーい。全部脱がせてあげますね」
「は?」
「佐伯さんのお世話するの、俺大好きなんです」
あれ、もう復活? つーか、俺も分かっていてしょっちゅうこんなやり取りをしてるな。つまんねえコントみたいだ。
ソファにめり込んだ俺の身体を引っ張り上げられ、バンザイのポーズをさせられる。高かった上質なニットをびよーんと雑に扱われて、脱がされた。スポンと顔を出した先に覗いた無防備な笑顔は、まだ子どものソレだ。フン。
ニットが脱げたので、バンザイポーズから腕を下げようとしたら、ヤツの腕でぐいと支えられ、無理矢理にそのまま磔みたいなポーズにさせられた。
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