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「だるいんだけど……」
「このままで、ね」
「は?」
「佐伯さん、エロい」
そう言うと、ヤツは俺の乳首をキュッと押さえた。すぐに口を寄せて尖りを吸おうとしやがる。ざけんな。
「何? お前、もうサカってるの?」
「……若いんで、仕方がないです」
「何それ」
あー、こいつ勃ってるわ。俺の魅力にメロメロってこと? 当たり前だよね。若いっていいね。即、だから。
しかしだな、こいつの愛撫は、取り合えず勢いがいいだけで、巧みさが全然無いんだよね。それでも厚い舌でイイところを何度も舐められたら、俺の身体も勝手に感じてくる。腰が絡むと余計に刺激される。
「佐伯さんも、ですね」
「……ん」
「ね、コマンド、欲しいですか?」
耳元でそう囁かれると、もう一つの自分の本能が求め始める。ケツの奥が疼いてきた。
俺、佐伯純二のダイナミクスはSubだ。コマンドで悦び、支配され従属することで満足を得る生き物だ。Subの本能がこいつから美味しいコマンドを出されるのを待っている。
「……出せよ」
求めてやる。Subの俺の方が主だからだ。なのにこいつはいつも俺をはぐらかす。ワザとなら俺以上に質が悪い。
「好きですよ」
「何?」
「俺、佐伯さんが好きですよ。だから、見せてください」
股間を緩く撫でやがった。絶対にワザとだ。クソッ、ハラが立つ。でも……声が出る。
「あ……」
「"Strip" 全部脱いで」
こいつのコマンドは質が悪い。それだけでイキそうになっちまうじゃねえか。
いや、そうじゃない。そもそも俺は、こいつには最初から調子を狂わされ続けている。フザケた状況で知り合った割に、こんなにも関係が続いて、あまつさえ鍵まで渡して……。
……いろいろ認めたくないが、ま、きっと、そういうことなんだろう。チッ。
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