ひねくれSubの癒し方

２ 今夜の相手を探すなら

　マッチングアプリの使い方も、もう慣れたものになった。俗な言葉で言えば、『出会い系』だ。

　存在を知った当初は、馬鹿馬鹿しいと思ったが、使ってみると自分のような人間にとっては意外と便利で、今では結構活用している。結構な頻度で使っていることがバレたら、遊び仲間に揶揄(からか)われかねないので、誰にも言う気は無い。

　俺には、特定のパートナーはいない。欲しいと思ったことも無い。

　ダイナミクスの性別がSubなので、抑制薬を使うかプレイをするかじゃないと、どうしても心身の健康が保てない。

　俺は医者だが薬が嫌いだ。特にSub用の抑制剤は、片頭痛がひどくなるので使いたくない。逆に、プレイとセックスは大好物なので、そっちの方でダイナミクスの解消にせっせと励んでいる。

　他人には、歌舞伎役者のナントカってヤツに似ているとよく言われる。ネットでどんな奴か調べたら、女形の人気役者で、素顔もなかなかのものだったので悪い気はしなかった。その上、医者をしているので懐に余裕がある。Subとしてのスペックは上々で、相手に困ったことは無い。

　Domの固定パートナーを作れば、ことは簡単かもしれないが、特定の誰かとパートナーシップを結ぶなんて、考えただけでゾッとする。

　そういう自分にとって、ワンナイトの相手探しにはマッチングアプリは誠に好都合な存在ではある。ハズレももちろんあるが、元から大きな期待が無いので、ガッカリもしない。所詮『出会い系』だ。

　経営している皮膚科医院の昼休憩の時間に、今晩のプレイの相手を検索してみた。これも日課になりつつある。使っているアプリは、ダイナミクス性がDom/Sub専用なので煩わしいことがない。登録している皆がプレイ目的なので話が早く簡単だ。