3章:戦闘技能試験・本戦

6/10
前へ
/71ページ
次へ
 まぁ、この戦法は今回限りだ。僕のコピーの能力では言魂までコピーすることはできないから、言魂遣いと1対1の状況ではむしろ不利にしかならない。  使うとしても変身して相手の情報を手に入れたらすぐに解除というパターンだろうけれど、解除直後はほぼ行動不能になるから、やはり戦闘中に使う能力としては有用ではない。 「次は殴り合いで雌雄を決したいでありますな」 「勘弁してくれよ。学生らしくテストの点数とかで勝負しない?」 「雨代殿の成績は下から2番目だったと記憶しているでありますが……?」  本戦1回目にしては随分とお粗末な試合内容だったかもしれないが、まぁ、勝てば良いんだよ、勝てば。  鹿金が自身の強さを証明したいから言魂技能の評価を無視したように、僕も最強闘力(バトル)最高技能者(タイトルホルダー)になって『捜査権』を手に入れたいから技能試験としての内容を無視した。  判定勝ちとはいえ、相手が0だったから勝っただけのようなものだ。残りは2戦。1回戦からギリギリの戦いをしてきたけれど、勝ち残れるか少し怖くなってきたな。……なんて、弱気になるのがダメなところだな。 「おつかれさまー、きょーすけ!」 「あれ、唯?」  試合が終わったので観覧席に戻ると唯がいた、その横にはメガネ委員長と御剣もいるので、一緒に観戦していたのだろう。 「芸術技能試験の方は昼休みに入ったらしいのだよ。まぁ、こっちも本戦に入ってはいるが、時間的にそろそろ……」  とメガネ委員長が説明しているうちに昼休みのアナウンスが流れた。 「ひとときの休息であるな! 共に昼餉としゃれこみたいところだが、あいにく同胞と契りをしているのでな。また後で合流しようではないか!」 「そうだね。それじゃあ5年後に」 「もはや卒業しているではないか! キングダム・アイよ。なんか我に……辛辣じゃない?」  そういって御剣は去っていったので、メガネ委員長と唯、3人で昼ご飯を食べることにした。  学生だけではなく近隣住民もいるからか、めちゃくちゃ混んでいる。フードコート内の席は絶えず満席なので、サンドイッチを購入して外で食べることにした。 「おぉー……太陽だ」  午前の部が終わったから、だいたい3時間くらいが経過しただろうか。人が多いこともあり熱気が充満していたので、開放感が凄い。お腹が減っているのが関係しているのか分からないが、空気が美味い。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加