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エミは恥ずかしそうに目を伏せる。いつもつけまつ毛で縁どられている目は、黒目がちで、心もとなさげに潤んで揺れている。いつも結んでいる金髪はしどけなく下ろしており、エミが動くたびに華奢な肩口からさらさらとこぼれ落ちた。
いつもと違ってずいぶん大人しいエミをディルはしげしげと観察した後、急に何かを思い出したかのように、軽く咳払いをする。
「一応聞くが、私の聞いた『夜伽をする』の意味は分かるな?」
「う、うん、いちおうね……」
羞恥でだんだん声が小さくなるエミに、ディルは軽く頷いた。
「分かっているなら良い。合意は得たと解釈する。……と、いうわけで、やるぞ。まずは脱がせる」
「う、……うぃっす!」
「身体は楽にするように。そちらの方が脱がせやすいと文献で読んだ」
ディルはさっさとエミのガウンの紐に手をかける。エミの華奢な肩から、ガウンがするりと滑り落ちた。
「……ッ、これは、いったい……」
ディルは苦い顔をする。
ガウンの下から現れたのはエミのなめらかな素肌ではなく、まるで騎士の纏う鎧のような堅牢ななコルセットだった。
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