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ディル・K・ソーオン。
政治、法、発明、化学に魔法、さらに建築や土木、数理など、ほぼすべての分野において才覚を発揮する、稀代の天才。
ソーオン男爵家の次男で、その非凡な才能でめきめきと頭角を現し、齢17歳にして王室に助言を与える参与職にまで上り詰めた男。合理的過ぎるゆえにしばしば冷酷な判断を下してしまうことから、付いたあだ名は「冷血伯爵」。
そして王都で行われた極めて重要な話し合いで、よりにもよって国王本人に対し、真っ向から「お前は馬鹿か」と言い放ったことにより、3年前に王都から追放された男。
しかし、不敬な物言いで王都を追放されたディルは、国王から「辺境伯爵」の地位と、ガシュバイフェンを領土として与えられた。異例の大出世に、貴族たちは大いに驚いた。
しがない男爵家の次男が、広大な領土を有するガシュバイフェンの辺境伯爵に任命されたのは、サンクトハノーシュ王国の長い歴史において前例がない。
しかも、ディルの特別扱いは出世だけにとどまらなかった。
辺境伯爵となり王都を離れたディルは、王政に強い影響力を持ち続けたのだ。
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