聖女、参る!(1) ※

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 灯りは消えていたものの、広い窓のカーテンは開いており、かろうじて月の明かりが部屋の中をぼんやりと照らしている。重厚な部屋は殺風景だ。広い部屋に、ベッドと、ひじ掛けタイプのソファが備え付けてあるだけ。壁には装飾の類は一切ない。寝るだけのためにある部屋、という様相である。とても領主の部屋とは思えない。  ディルは無言でエミをベッドに座らせ、自らもどかっとベッドに座った。 「ええっと……」  エミは戸惑ったように上目遣いで隣に座るディルを見上げる。ディルは首を傾げた。 「聖女、お前いつもより顔つきが幼くないか?」 「え、待って。 いきなり指摘されちゃった~~! ハクシャク、化粧オフったら気づくタイプか~~! えぐい~~」 「いや、さすがに気づくだろう。全然違うぞ」 「お風呂入った時に、メアちんたちに化粧全部オフられちゃったの。照れぴだからあんま見ないで~~。チークないとお顔ドンヨリしちゃうから、バイブス鬼サゲ……。あと目の下の赤みとかヤバたんだしぃ……」
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