12.どうしてこうなったのか

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あれから二週間、山科さんからの連絡は無くなった。本当に綺麗さっぱり無くなってしまった。 会社で姿は見るし、事務的な会話はする。今まで一日一回は何か言ってきていたが、全く私に話しかけて来なくなったのだ。 もう利用価値ないもんな…… 部屋で一人、真っ暗な中、何度もスマホを確認する。 付き合ってたわけではない、奴隷生活を送っていただけなのに、元彼からの着信を待つ女の気持ちを味わえてしまった。 部屋をノックされる。 「優美ちゃん、妙ちゃんと夢ちゃん来たわよ」 慌てて飛び起きると、妙ちゃんと夢はそんな私をみて笑った。 「彼氏と別れたみたいな顔して」 「本当、バカみたいだよね。奴隷から解放されたっていうのに」 無理して笑ってみたが、よっぽど不自然だったようで、妙ちゃんと夢が慌て出した。 「優美、元気だしなって」 「男なんて星の数ほどいますよ」 これはまずい、何とか立ち直らなければならない。 「粗治療する、妙ちゃんが聞いた噂全部教えて」 妙ちゃんは一瞬困った顔をしたが、すぐにいつもの強気な瞳に戻る。 「なんか、大金星って男の人達は大騒ぎしてるし、もう麗子さんの家族に紹介されたらしいりそして、麗子さんが近いうちに海外転勤の辞令出されるから、結婚して山科もそれについて行くってさ」 「はははっ、そう」 机に崩れ落ちると、二人は私の頭を撫でた。 「優美、元気だしなって」 「優美さん、新刊持ってきましたよ」 一瞬、顔を上げて新刊を手に取ったが、どうにもこうにも元気が出なくてまた机に崩れ落ちた。 いつか、また新刊が手に取れる日まで。
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