12.どうしてこうなったのか

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何事もなかったかのように会はお開きになった。 これから二次会が旅館内のスナックであるが、勿論私は参加しない。 私以外のみんなはほぼ参加するらしい。 親しくもない人と飲むより、部屋で斉藤さん山科さんの最後の夜妄想をしていた方がよっぽど時間を有意義に過ごせる。 斉藤さんがいなくなったら、次は誰を相手にすればいいのだろう。 というか山科さんももうじきいなくなるんだろうな。 かといって他の人ではそそられない、とうとう会社に行く楽しみが無くなってしまう。 ため息をつきながら、温泉に入ると湯船に桜の花が舞っている。 夜桜を見ながら考えた。 もし私が麗子さんみたいに美人だったら、麗子さんのウチみたいに、会社を経営していたら、けれど、そうだとしてもそれは私ではない。 全てが仕方がないのだ。 別に今の状況に不満があるわけではないし、また、新しく妄想しがいのある人が来るかもしれない。 また好きになれる人が来るかもしれない、いや、それはないだろう。 私にとって最初で最後の好きになった人なのだろう。 温泉から上がると部屋に戻った。人恋しくなり、テレビをつける。 布団にゴロゴロしながらスマホを触っていると、突然ドアが何回もノックされた。 誰かが部屋を間違えたのかと思い、ドアスコープを覗くと、何故だかそこに山科さんがいた。
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