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頭の中にはてなマークがたくさんある。何か用事があるのだろう。
とにかくドアを開けた。
山科さんは浴衣姿で、だいぶお酒を飲んだようで、顔がお猿さんのように赤い。それに誰かにこんな様子を見られると変な噂をばら撒かれる。
とにかく部屋の中に入れると、ドアを閉めた。
「どうしましたか?」
そう尋ねると山科さんはなぜだか笑った。
「俺、今だいぶ酔ってる」
「見ればわかります」
山科さんは窓の外の暗闇を見つめた。
「おそらく、今のこの行動を翌朝に後悔するのかもしれないし、後悔しないのかもしれない」
全くもって意味がわからず、山科さんを見つめた。部屋は静寂に包まれた。
気まずいからテレビでもつけておけば良かった。
山科さんは私を見ると、優しく笑った。
「俺、麗子さんと結婚したくない」
青天の霹靂、なぜに?どうして?
「どうしてですか?あんなに好きだったのに」
「内田さんにも、あのオタクの男と結婚してほしくない」
山科さんをただ見つめていた。
「内田さんが、好きだった」
何かのドッキリだと思った。ドアの外には職場の皆さんがいて、私がひっかかるのを今か、今かと待っているのだ。
山科さんは私を抱き寄せた。
いや、ドッキリでここまでするか?
こ、これは、現実か?フェイク動画か?
もしかしたら、白昼夢なのか?いや、これは私の妄想世界なのだ。
このBLではないリアル妄想はしてはいけないと、自分に言い聞かせ抑圧して来た。それがとうとう爆発してしまったに違いない。
そう、これは妄想だ。だから、自分の好きにしていいのだ。これから、山科さんを○○して、あれも、こうして……。
ふと匂いを嗅ぐと、濃いやましなさんの匂いがした。
やっぱりこれは現実だった。
どうしたらいいんだ。
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