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「酔ってるんですか」
何とか絞り出した言葉がこれだった。
「酔ってる、かなり酔ってるよ」
山科さんは呂律が回っていない。酔っていておかしくなっている。
そして、私は自分の欲望に負けた。この人が麗子さんの婚約者だという事実は綺麗さっぱり忘れよう。
これは、私に巡り巡ってきたラッキーチャンスだ。このまま上手くやれば、山科さんと○○○や△△△とか、色々なことができるかもしれない。
女に性欲がないとか言ったやつ、出てこい。そんな訳はない、私には本能に刻まれた強い子孫繁栄欲があった。
山科さんの背中に腕を回した。
「山科さん、ずっと好きでした」
そう耳元で囁き、目を合わせた。
どちらからともなく、唇を合わせる。私は数多の漫画知識から、どうやったら、ことに持ち込めるかよくわかっている。
キスをしていると山科さんが体を触ってきたので、私も負けじと触り返す。Tシャツを脱がされたので、カレの浴衣の帯をほどいた。
気づくと彼は胸を吸っていて、私は漫画のような声を出していた。本当にこんな声出るんだな。
きっと彼は上手い方なのだろう。
体が快楽に溺れていく。
私も知っていることは全てやった。
そして、さぁ、今からという時だ。
「優美、愛してる」
山科さんが私の耳元で囁いた。
下の名前知ってたんだと笑いそうになったし、「本当かい」と突っ込みそうにもなった。
そんなことどうでもいい。
もう何もかも、どうでもいい。ただ自分の欲望が突き進むまま、彼が欲しい。
最高の夜だった。
この夜のことは一生忘れない。
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