12.どうしてこうなったのか

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二日酔いだ。 そう言い訳をして、昼食を食べずに部屋で寝込んでいた夕方四時。 妙ちゃんと夢が部屋を訪ねて来てくれた。部屋に入るなり、妙ちゃんはいつもよりもテンション高く、「何かあったんでしょ?」と自分のことのように興奮していた。 夢は「いいですね、そのシチュエーション」と彼女もまた興奮していた。 包み隠さず、何から何までこの二人には話した。わたしの唯一の親友と呼べる友達だし。 夢は「もったいない、しがらみなんか関係なく自分の気持ちを通すべき」とまた興奮していた。 私もその気持ちに乗せられ、山科さんに好きだったと言いたくなった。 周りなんて関係ない、自分の気持ちを貫き通したい。 けれど、妙ちゃんは浮かない顔をしている。そして彼女は口を開いた。 「本当は応援したいけどさ。ただ単に麗子さんと付き合ってるだけなら、いいけどさ。もうアイツ先週の土曜に麗子さんの父さんに紹介されて一緒に食事してんだよ。今更、婚約破棄なんて退職覚悟じゃなきゃできないでしょ?あいつがそんな選択するとは思えない」 そう、妙ちゃんの言う通りだ。 山科さんは何てことをしてしまったのだ、と頭を抱えてるに違いない。 わかってはいる、山科さんの一時の気の迷いだったって。どうして神様は私に希望を持たせるような、こんなに残酷なことをするのだろう。 その時、私の滅多にならない携帯電話が鳴った。画面をみると、それは山科さんからのメッセージだった。 「今すぐに部屋に来て」 これまでと何ら変わりのない一方的な命令だ。
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