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しかし、美琴は崇矢に「でも、こんな事したら警察に捕まるんじゃない?」と言い放つ。
「警察ぅ?」崇矢は薄笑いを浮かべながら、その場にヘタリ込む美琴を見下ろす。
「殺人なんかしたらすぐに警察に」
美琴が最後まで言い切る前に崇矢は「警察が男である俺を逮捕するのか?」と被せてきた。
美琴は崇矢の言葉の意味がわからなかった。男だからなんだ。男だったら逮捕されないとでも言いたいのか。
「何を言ってるの?男だからなに?」
「俺がこの家に来た時、俺はどんな格好をしてたっけなぁ?覚えてねぇか?」
「ここに来たとき?それは女装を・・・」美琴には崇矢の恐るべき計画の全貌が見えてきた。
「そう!女の格好をして部屋に入った!
男の格好じゃなく女の格好を!
さすがにここまで言えばわかるよな?」
「も、もしかして、犯人は女だと思わせようっていうの?その為に女装して来たっていうの?」
「その通りだ!大正解!」
美琴は崇矢の恐ろしい計画の前に、なす術もなく泣き崩れるしか無かった。
「さあ!言ってみろよ!警察が逮捕するのは!男である俺か?それともこの部屋に入った存在しない女か?」
「い、嫌・・・・」
「まぁ、警察の連中も、お前の死体を発見したら、とりあえず捜査を始めるだろう!
そしてまずやる事は近隣住民への聞き込み調査だろうなぁ・・・
その時、警察はこう言われるはずだ!事件発生前後に周辺を彷徨く怪しい女を見た!ってなぁ!」
美琴はあまりの恐怖で言葉が出ない。今すぐ叫びながら助けてくださいと言いたくても言葉が出なかった。
「我ながら素晴らしい計画だろ?」
(いや・・・やめて・・・お願い・・・)
「お前は俺たちの明るい未来のためその身を捧げるんだ」
(助けて・・・お願い・・・)
「でも怖がる事はねぇよ?これは名誉ある死なんだから」
(死にたくない・・・嫌だ・・・)
「じゃあな美琴ちゃん❤︎」
(いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)
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崇矢は美琴の殺害を終えると、自らの痕跡を全て消しさり、まるで何も無かったかのように、美琴を殺害したことが夢や幻であったかのように、夜道を歌を歌いながら上機嫌に歩いていた。
「ふんふーん♬ふんふーんふーん♬」
「天馬・・・これで俺たちの邪魔をする奴は、この世に誰一人いない・・・
俺と天馬だけのバラ色の恋路が待ってるんだ!」
崇矢は今後の未来を天馬とともに生きていける事にこの上ない喜びを感じていた。
「さ!俺の天馬が待ってる!さっさと帰ろう!」
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つづいてのニュースです!
咲夜未明、都内のアパートの一室にて
首元を刃物のような物で切り裂かれ
亡くなっている女性が発見されました。
被害者の名前は、柊美琴さん20歳。
近隣住民からの証言によりますと
死亡推定時刻とされる深夜1時前より
周辺を徘徊していた
怪しい女性を見たとの情報もあり
警察はその女性がなんらかのカタチで
事件に関係していると見て
捜査を進めています
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