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また美琴は、惣菜コーナーでウロウロしている天馬から何かを察したのか 「もしかして、今日の夕飯ってお弁当なんですか?」と天馬に問いかけてきた。 天馬がそうだと答えると美琴は驚いたように 「弁当など食べていたら栄養が偏っちゃいますよ!将来的に病気なんかになった大変!」と言って来たが ろくに自炊ができないから仕方がないと天馬が恥ずかしそうに答えると 「なら、私が作りにいってあげましょうか? 私、お料理得意なんですよ!ね?ね?」 美琴は天馬の両手を握りながら、グイグイ迫ってくるように満面の笑みで言ってきた。 (さすがに家は怖いなぁ・・・) 天馬は若干の恐怖を覚え、悪いので結構ですと伝え、美琴の手を振り解き、足早にこの場を立ち去ろうとした。 しかし、美琴はそんな天馬の腕を掴む。 「嫌ですか?迷惑ですか?」と、先ほどの笑顔とはうって変わって困惑した表情で天馬に問いかける。 「いや、そういう話じゃなくて」 「だって逃げようとしてません? そんなに嫌ですか?」 「今はその・・大学の講義が忙しくて その、今は余裕がないんですよ」 天馬は美琴に不快感を与えないように思考をフル回転させ、必死に言葉を絞り出す。 「今は忙しいだけですか? 避けてる訳じゃないんですね?」 「そ、そうなんですよ・・・」 天馬の受け答えに観念したように「なら仕方ないですね・・」と天馬の腕から手を離す美琴 しかし思い出したように 「ならLINE交換しましょうよ!LINEなら忙しいとか関係ないですよね?」と提案をする美琴。 しかし天馬の表情から嫌悪を感じた美琴は「それもダメですか?」と困った表情でつぶやく。 必死に考えた結果、LINEの交換くらいなら別に大丈夫だろうと、美琴の提案を天馬は了承した。 「やったぁ♫なら早速交換しましょ♫」 美琴は欲しかったおもちゃを買ってもらえた少女のような笑みを浮かべ喜ぶ。 (可愛くはあるんだよなぁ・・・) 天馬は美琴の無邪気な笑顔に少なからずの好印象を抱いていた。 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ 「はぁ?LINE交換した?」 天馬は自宅に帰ると、スーパーで美琴と偶然に出会い、LINEの交換をした話をしていた。 「なんか、その、なりゆきでさ そうなったんだよ・・・」 「お前なぁ・・・どうせ強引に迫られて 断り切れなかったんだろ!」 呆れた口調の崇矢の言葉を否定したい気持ちがあった天馬であったが、否定できないこの状況に若干の悔しさを感じていた。 しかし、連絡先を交換してしまったというこの状況は変えることのできないリアルだ。 また、親密になりすぎるなと忠告する崇矢。中には思い込みの激しい人間も居る。 下手に近づき過ぎて(むこう)が勝手に、私は彼女だと勘違いするタイプだった場合、後が面倒だからだ。 やばそうなら即ブロックしろと注意するが、(むこう)は天馬の住所を予め控えている可能性がおおいにあるため、そのブロックもさほど意味を成さないのではないか?と今後の天馬を心配した様子の崇矢。 「それじゃブロックの意味ないじゃないか!」 「だから無闇に連絡先を交換するべきじゃなかったんだよ!今後の事を見据えて慎重に行動するべきだったんだ」 「そ、そうだよな・・・」 崇矢は最後に何かあったら連絡しろよ!という言葉を残し、電話を終えた。 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ 「恋人と勘違いかぁ・・・ そうなった時・・俺・・ きちんと断れるかなぁ・・・」 天馬は崇矢との電話を終えてからというもの、ひたすらに悩んでいた。 しかしいくら考えたとしてもコレという答えを導き出せず、仕方なく今日は寝ようとした瞬間、突然スマホのLINEの通知音が鳴り響く。 天馬がスマホを覗き込むと、美琴からのLINEだった。 《美琴です!早速LINEしちゃいました! まだ起きてますか?》 「美琴さんからLINEだ・・・ うー・・ん、無視するのも悪いし とりあえず返信するか・・・」
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